嘉陽小火車(芭石鉄路)―四川雑感〔12〕―

2010年3月13日(土)、嘉陽小火車(芭石鉄路)に乗車してきました。そこで、今回はこれを紹介します。本鉄道は、1959年7月12日、嘉陽炭坑(1938年に中英合同の炭坑として発足)の石炭運搬のため開通したものです。石渓鎮・芭溝鎮間の全長19.84kmのナローゲージ(762mm 開通当初は600mm)の鉄道で、蒸気機関車の牽引で石炭運搬と地元民の足となりました。しかし、終点の黄村の1号採炭場が1990年前に廃坑となり、2003年には廃線のやむなきに至りましたが、平行道路もなく、この鉄道が地元民唯一の足であり、同時に世界の鉄道ファンにも知られるようになり、2004年、四川省政府は工業遺産として保護を加えるようになり、今日では世界唯一の全日運行のナローゲージSL鉄道として脚光を浴び、地元でも観光資源として力を入れるようになりました。

本鉄道は、楽山市犍為県(成都市南約200km)に位置し、県城から北に12kmの石渓鎮を起点とし芭溝鎮とを結んでいます。トンネル6か所・曲線109か所・最少曲線半径70m・最大傾斜度36.14‰・高度差238mとなっています。駅は石溪站・躍進站(三井)・蜜蜂岩站・菜子壩站・仙人脚站・蕉壩站・芭蕉溝站・黄村井站の八つです。小客車6輛が通常編成です。これを石家庄動力機械廠の1950・60年代年製造のZM16-4型が牽引します。本蒸気機関車は4動輪・牽引力3168kg・最大時速35kmで自重16tです。日に4本、石溪站始発6時・9時30分・14時・17時30分で、終点黄村井站折り返しで8時半・12時・16時30分・20時着です。観光客車も連結され運賃10元(普通車5元)です。片道所要時間は1時間15分です。祝日・土日には10時30分発・14時30分発の観光専用列車(名所では減速・停車あり)が増発されることがあります(食事付き往復80元・往復50元・往路30元・復路20元)。

さて、当日は9時頃駅に到着しましたが、すでに座席は満席で立ち席となりました。ホームや車内には家族づれが目立ち、機関車とともに記念撮影する親子も多かったです。また、駐車場には成都からのマイカーが多く(帰りには―13時過ぎ―駐車場は満杯で、道路にあふれて駐車しており、帰り道でも多くのマイカーにすれ違いました)、マイカー族の増加が観光を支えていることをうかがわせます。写真1は、発車前の点検をする機関士とともに撮ったZM16-4型蒸気機関車で、本日のは9号機でした。

9時少しに発車となり、車内は観光客と地元の人ですし詰め状態でした。躍進の3号炭坑が採炭中で、この輸送のため、躍進站(嘉陽集団本社所在地)までは2000年に電化されました。写真2は、非電化区間に入り、蜜蜂岩站へ向かう途上で撮ったもので、このように随所に菜の花畑が見られます。この収穫が終わると、水田になります。

蜜蜂岩站のスイッチバックで、機関車の付け換えとなり、最高点の菜子壩站付近(601.8m)へと上っていきます。站手前のΩ型カーブでは折から菜の花畑が満開で、撮り鉄の名所として知られています。帰りには多数の人々が撮影に懸命でした。菜子壩站は近年に増加された駅で、ホームなど施設は何もありません。仙人脚站を過ぎ、蕉壩站に着きます。この駅の切符窓口で復路の座席切符を求められます。写真3は、次の芭蕉溝站で停車中の列車です。この駅で多くの乗客が降り、かつての炭坑街であった芭溝鎮を観光します。終点黄村井站から折り返す列車撮影と中休みのため、私は下車しました。

写真4は、折り返し列車が本駅で客車を増結するため、機関車が切り離されて列線へと入ったところをとらえたものです。

帰りの列車に乗車し、仙人脚站と菜子壩站間で機関車がドラフトしたところを撮ったのが写真5です。この後、水蒸気を顔面に浴びました。このように機関車は撮影名所などで盛大に煙を吐いたりドラフトしたりして、観光にふさわしくサービスをします。

写真6は、蜜蜂岩站で機関車方向を付け換えて停車中の列車です。ここでスイッチバックの機関車付け換えを撮影する日本人らしき撮り鉄を見かけました。また、観光専用列車とすれ違いましたが、この列車は9時半発と異なり、空席が目立ち、あれと思いました。運賃が高いのと、定期列車ではないので、知られていないのでしょう。

写真7は、再び蜜蜂岩站・躍進站間の菜の花畑です。手前の菜の花畑の中に一人、機関車の先の菜の花畑の左端に一人、撮り鉄さんが撮影中です。

最後の写真8は、車内風景です。行きと異なり立客も少なく楽になりました。行きの過半の乗客は芭溝鎮観光か、1号炭坑跡が炭坑博物館となり、この観光をするかして、16時半着ので戻るのでしょう。

以上で、嘉陽小火車乗車は終わりです。さて、成都からの交通を示します。二つあります。一つは、茶店子客運站9時発の嘉陽(躍進 60元)行で、嘉陽小火車(石溪)下車です。帰りは14時発です。もう一つは、石羊車站発犍為行(7時30分~17時30分・約30分毎 57~49元)で、犍為県城到着(南門汽車站)後、三井(躍進)行バス(8分毎)に乗り換え、嘉陽小火車下車(5元)です。所要時間は3時間強から4時間弱と見てください(3月現在、県城石溪間の道路補修工事が行われているので、この間通常30分ほどが、渋滞で思わぬ時間がかかることがあります)。なお、楽山市からも嘉陽・犍為行のバスがあります。

犍為県城での宿泊は、北門汽車站隣に天波大酒店(3星)、南門汽車站隣に南亜賓館、南門と北門を結ぶ鳳凰路の北門よりに銀珠賓館などです。躍進には嘉陽集団の招待所があり、また石溪・蜜蜂岩・芭蕉溝・黄村井などには旅館があり宿泊可能です。鉄道沿線の移動は、平行した道路がありませんから、徒歩か地元の人のバイク借り上げ(要交渉)となります

最後に、本鉄道の中国人マニアが立ち上げたWebサイト『火痴倶楽部』http://jyxhc.poco.cn/を紹介しておきます。最新情報はこちらから。

(2010.03.14)

〔追記〕 フォトアルバム「「四川・嘉陽小火車(芭石鉄路)」はhttps://1drv.ms/f/s!AruGzfkJTqxngpkVkv2HSUU7c4TtMwです。(2011.09.17)

〔追々記〕 現在、始発駅が石溪站から次駅の躍進站(三井)に換わりました。観光客の増加に対処するためです。これにより、現在の「嘉阳小火车客运班车时刻表」(2012年9月10日から)は次の通りです。

毎日運行:7時、10時30分、13時、17時(往復所要時間約2時間

観光専用車:10時30分(往復所要時間約2時間半)。なお、週末および法定祝日運行は13時発を観光専用車になります。

(2013.06.22)

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kanazawa45 について

中国に長年にわたり在住中で、現在、2001年秋より、四川省成都市の西南交通大学外国語学院日語系で、教鞭を執っています。 専門は日本中世史(鎌倉)で、歴史関係と中国関係(成都を中心に)のことを主としていきます。
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嘉陽小火車(芭石鉄路)―四川雑感〔12〕― への2件のフィードバック

  1. xiong2_gongzi より:

    これ、私も乗ってみたいんですよね~。地元の人は家畜を乗せることもあると聞いたことがあります。(xiong2)

  2. 正大 より:

    xiong2さん、こんばんは。確かに、地元民は荷物の運搬に列車を利用しています。この中に、家畜も入っており、生きた豚やアヒルが客車に乗り込んできます。これを「特殊乗客」といます。今回は、残念ながらこれは見られませんでしたが。

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