四川汶川大地震4日目の西南交通大学九里堤キャンパス―成都雑感〔64〕―

 本日から講義再開です。私は木曜日はない日なのでのんびりといったところです。午前、郵便物を見に、外国語学院の入っている中心教学楼に行ってきました。帰りに、9階の日本語学科研究室を覗いてみました。室内に変化はなく、わずかに本棚に積み重ねてある本の一部が崩れかけていたのが地震の影響といえばいえます。ですが、廊下の壁は所々目立たないですがひび割れを生じていました。壁の漆喰の剥がれはひび割れに比してほとんどありませんでした。ひび割れも壁部分のみで、柱部分には発見できませんでした。壁のひび割れは2階部分でも見ることが出来ましたから、高層のみならず低層にも及んでいる広範囲なものです。他方、中心教学楼のガラス窓には全くの損傷はありません。

 ご承知かも知れませんが、中国の建築物ではビルでも、壁は煉瓦をただ積み上げてこの上に漆喰を塗って仕上げとしています。当然ですが、壁には芯は入っていません。ですから、壁は振動に弱いのです。逆にいうと、日本のビルで壁にひびが入る危険性のレベル以下で中国ではひびが入るのです。したがって、柱本体に何らかの損傷がない限り、壁自体の損傷に驚くことはないのです。簡単に中国の壁は損傷します。私の宿舎は今回の地震でまったく損傷しませんでした。しかし、普段のドアの開閉の影響でしょうか、部屋によってはドア回りの壁が前から破損しています。また、私の部屋もそうですが、壁の漆喰の一部に以前からの剥離が見られます。このことは施工と材料に問題があることを示しています。これが中国の建築物の現状です。外観にごまかされてはいけません。

 こんなわけで、大学内の建物に地震による被害が出たことは明瞭ですが、基本的に危険なものではありません。ただ、エレベーターは点検が終了していないので、本日も停止で、新宿の11階の部屋に居住して以来数十年ぶりの10階までの階段上りとなりました。

 バスケットボール場の仮設テントは相変わらずそのままで、昨日よりは多くの学生が布団を敷いてこの中にいました。

 商店街はほぼ完全に営業していました。ここで目立ったのは、食品関係の店には大量のミネラルウォーターペットボトルが置かれていたことです。とりわけ、スーパーでは店内のみならず、歩道上にうず高くペットボトルを置き、それも箱から出したままの梱包された状態販売していました。実は、本日の『朝日新聞』のサイトでも報道されたように、昨日成都市内を一つの噂(デマ)が流れました。震源地近くの化学工場が被害を受け有毒物質が岷江に流れ込み、成都市の水道が15時から止まるというデマです。私の所へもその直前学生からこの電話を受けました。このデマで成都伊勢丹などでは高級ミネラルウォーターまで完全に品切れになりました。このデマに対して当局では打ち消しのニュースを流しました。そして、品切れがないように急遽全市の商店にミネラルウォーターを供給したのでしょう。それでも、この日、自動車に大量のミネラルウォーターを買い込んで積み込む人を見かけました。

 すでに、スーパー横には、義援金と救援物資を受け付けるコーナーが設置され、ひっきりなしに、学生が梱包した救援物資を持ち込んだり、義援金に応じたりしていました。

 以上が昼間のキャンパスの様子です。こうしてみると、私の宿舎は地震で揺れこそしましたが、まったく被害はなく、電気・水道などのライフラインも正常で、成都市でもっとも地震の影響を受けなかったといえましょう。

(2008.05.15)

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kanazawa45 について

中国に長年にわたり在住中で、現在、2001年秋より、四川省成都市の西南交通大学外国語学院日語系で、教鞭を執っています。 専門は日本中世史(鎌倉)で、歴史関係と中国関係(成都を中心に)のことを主としていきます。
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四川汶川大地震4日目の西南交通大学九里堤キャンパス―成都雑感〔64〕― への2件のフィードバック

  1. より:

    刻々と成都のレポートをありがとうございます。
     
    実は、去年教えていただいた旅程がすばらしすぎて、
    どうしても成都にもういちど行きたい気持ちをおさえきれず、
    去年と全く同じ旅程で7月末に成都・九寨溝・黄龍を再訪する予定でした。
    国際線の航空券、九寨溝、成都でのホテルは去年のとおりで、予約は既に済ませています。
    あとは国内線(成都~九寨溝)の振込みを済ませれば全部完了で、
    その時点でご報告しようと思っていた矢先でした。
     
    とりあえず、国内線はキャンセルしました。
    国際線、ホテルはまだそのままです。
    いずれキャンセルしないといけないとは思っていますが・・・。
     
    それにしても、10階までの階段とは大変ですね。
     

  2. 正大 より:

    ジュピターさん、こんばんは。現在、北京・上海方面からの四川省への国内ツァーは全て止まっています。国家旅流局は13日に被災地経由のツァーの停止を旅行社に通達しています。日本でも、サイトで見たら、JTBは5月の九寨溝ツァーは全てキャンセルし、返金します。6月以降は受け付けています。確かに今回の地震の復旧の目処が立たないと、九寨溝への観光は無理といえます。しかし、陸路はともかく、空路の観光は早く再開されると考えています。都江堰から汶川県への道路開通に全力を注いでる様子が報道からうかがえます。このテンポも私の予想より速いです。ですから、軍用車両が通行可能になるは思ったより早まりそうです。とすると、やはりこの道が復旧活動の主力となります。あと西の理県からと北の松潘県からの接近路があります。いずれも寸断され、これも復旧中です。が、成都から迂回路となり遠いのです。もちろん、本格的な道路復旧には時間がかかりますから、陸路での観光はかなり時間がかかるでしょうし、早いとしても悪路ということになり時間も相当かかるでしょう。九寨溝などは今や観光で成り立つ地区ですから、観光での空港利用が復旧活動に妨げにならないようなら、早く空港が観光利用に開放されるでしょう。ですから、おそらく7月末なら十分に観光可能となっていると考えます。

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