金沙遺址(遺跡)博物館オープン―成都雑感〔39〕―

金沙遺址博物館が、2007年4月16日(月)12時半、オープンしました。開館時間は8~18時で、入場料は80元です。成都中心の天府広場から西北西に約5㎞の、二環路と三環路の中間に位置します。最寄りのバス停は、901路(成都旅游集散中心站から)が終点の金沙遺址站(南大門前)、7路(十里店公文站~蜀源路站)・14路(青苑東街站~成洛路公文站)・82路(茶店子公文站~成仁公文站)・83路(青龍場中心站~機投鎮站)・96路(川大錦城学院站~北京西単站)・111路(桂渓公文站~迎賓大道中站)・502路(成都客車廠站~機投鎮站)・503A路(火車北站~機投鎮站)が青羊大道北站(東大門前)です。

金沙遺跡は、2001年2月8日、住宅開発に伴う下水道工事中に、発見されたものです。21世紀最初の中国における考古学的大発見でした。その後の発掘調査により、基本確認部分でも5平方キロに及ぶ大型遺跡です。ここからはすでに金器200余点・青銅器1200余点・玉器2000余点・石器1000余点・漆木器10余点の5000点あまりと、陶器数万点・象牙1トン・動物骨片数千点が発掘されました。これらの調査などにより、ここは、BC1700~1200年(夏晩期~商後期)の三星堆文化の後、BC1200~500年(商後期~春秋)の十二橋文化の代表遺跡と解明されたのです。以上により、2006年に中国重点文物保護単位(特別史跡に相当)に指定されました。すなわち、三星堆遺跡と並んで、四川省における古蜀文化(長江文明)を体現する遺跡なのです。いにしえの古蜀王国の跡といえます。この遺跡の中核的なところに博物館が建設され、保護された遺跡と出土品を眼前にすることが出来るようになったのです。

さて、博物館は敷地面積30万㎡・延総建築面積3.5万㎡で、遺迹館・陳列館・文物保護中心(センター)の主要な三つの建物からなっています。遺迹館は、大型祭祀遺構上にドームを覆って、保護・見学出来るようにした施設です。陳列館は、ここから出土した遺物を中心に、展示した施設で、見学の中心といえるものです。文物保護中心は、研究施設であるとともに、ここで実演・体験などを行う施設です。以上3館の見学はその順にしたがって行うのがいいでしょう。まずこの目で遺跡自体を確かめ、この出土品をじっくり鑑賞し、最後に往事を体験するのです。

東大門を入ると、正面に遺迹館の建物があります。面積約7600㎡・高さ18m・幅63mの建物が大型祭祀遺構を覆っています。そのまま遺跡を保護・見学できるようにしたもので、陝西省の秦始皇帝兵馬俑博物館と同様なものです。当然ながら、ここではまだ発掘が継続中です。写真1が内部の様子で、これは入口(東側)から入ったところで西へと撮ったものです。ご覧のように遺跡の内部に通路が設けられて、見学できるようになっています。ただし、保護のため発掘は全て埋め戻されており、遺物はごく一部を除いて見ることが出来ず土だけを見ることになります。ただし、各地層の表示はしっかりなされており、同時に、主要な出土品は発見地点にカラーパネルが置いてあり、どこで出土したか確かめることが出来ます。

02金沙遺址博物館・遺迹館内部

写真2は、内部通路を通って西側に出たところにある、ガラス越しに足下に見える大型烏木(黒壇)の樹根です。約100㎡もある巨大なもので、これは発掘されたままその場所にあるものです。以上で遺迹館は終わりです。

04金沙遺址博物館・,大型烏木

遺迹館の北の出口から道を進み(北へ)、川(ここで古蜀人は祭祀を行ったと考えられています)を渡ると、陳列館です。2階建ての陳列館には五つの展示室と4D影院(映画館)、売店・喫茶室などがあります。

まず、入口を入り階段・エスカレーターを上がると、2階の一展庁(第1展示室)です。「遠古家園」と題されています。入ると、

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に見るように、往事の古蜀人の生活場面のパノラマが目に入ってきます。ここには動画を見る液晶パネルも設置されています。生活を主体としていますから、展示品も動物骨格(馬・豚・犬・鹿・虎・猪・象)・陶片などで、当時の動物の生態が理解できると思います。なお、全展示室の展示品はその名称(中国語・英語)を記しているのみで、説明はありません。

次が二展庁(第2展示室)です。「王国剪影」と題されています。入ったところに本博物館地区の遺跡分布模型(宮殿区・祭祀区・生活区・墓地)があります。その後方スクリーンには発掘時のビデオ映像が流されています。ここより左に通路にしたがって進むと、左の壁側に往事の建物などが復元された居住パノラマがあります。その先に、生活用具の出土品が展示されています。逆に右壁側には大型建築遺跡の縮小模型と出土建築木材が展示されています。さらに進むと、左側に冶鋳として金器・銅器の出土品が、次いで制玉として玉器・玉石が展示されています。写真4は、この制玉のところにある代表としてお見せするもので、「刻劃同心円円紋的玉璋」とあるものです。これは直径16.9cm・孔径6.2cmで、7重の同心円の刻みがあります。玉器の展示品の中には逸品が多く含まれており、見逃しがたいところです。これと反対側の右側には、早期・中期・晩期と分けて、大量の陶器が展示されています。この展示室の最後が墓葬です。単人墓や複人墓がここにそのまま切り取られて展示してあります。当然ですが死者の骨を見ることになります。

11金沙遺址博物館・刻劃同心円円紋的玉璧

二展庁を出ると、エスカレーターがありますから、これで1階に下ると、左手に三展庁(第3展示室)の入口があります。「天地不絶」と題されています。入ってすぐ目に入るのが写真5の高さ14.6cmの青銅立人です。これは本遺跡出土の青銅器を代表する品です。このためか、これのみの単独展示として通路の中央に位置しています。さらに進むと、象牙群が展示されています。保護液の入った水槽内に2mはあるのかという巨大なのを含みます。そして、中央に石器類、左に金・銅器・石器などの雑類、右に玉器類が展示されています。これらも貴重な出土品を多数含みます。石器類には中国最古の打楽器といわれる石磬などを展示しています。玉器類には玉璋・玉琮などの各種の玉器ごとにまとめて展示されています。暗い中に照明に浮かぶ多数の玉器は美しいものがあります。また、雑類のところには、喇叭形金器・三角形金器・銅虎・跪坐石人像などの逸品が含まれており、見逃すことが出来ません。石器類の奧には遺跡組として祭祀品類が展示されています。なお、順路は石器類・玉器類・遺跡組・雑類となり出口になります。

16金沙遺址博物館・青銅立人

三展庁を出て、まっすぐ進むと、四展庁(第4展示室)です。「千年絶唱」と題されているように、陳列館のハイライトです。すなわち本遺跡出土品の粋が集められた展示室というわけです。展示室の中央に、本遺跡出土品の白眉、太陽神鳥金箔が鎮座しており、その四囲に4か所に分けて出土品を展示しています。右手前のブースには、緑松石珠・有領玉璧(2枚)・玉鑿(3本)・玉戈・陽刻昆虫紋玉牌が、右奧のブースには、帯柄有領銅璧・人形銅器(2体)・金面具・金冠帯・鏤空喇叭形金器が、左奧のブースには、石虎・跪坐石人像(2体)・四節玉琮・十節玉琮・獣面紋玉鉞・玉鉞が、左手前のブースには、玉璋・肩扛象牙人形紋玉璋(2枚)・玉戈(3本)が、それぞれ右から順に展示されています。写真6は直径19.9cm・幅2.8cmの金冠帯です。ご覧になりにくいでしょうが、人頭像・鳥・被矢魚の細刻が施されています。

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写真7は長22.4cm・幅11.4cmの獣面紋玉鉞です。ご覧のように、上部に獣面の紋飾の線刻が施されています。以上の展示品の外に、本展示室の内壁と外壁の間が通路となっていて、ここに本遺跡の理解をより深めるためとして、中国全土の主要遺跡のパネル写真などを掲示しています。これで、黄河文明と長江文明の主要遺跡の概要を知ることが出来、金沙遺跡の中国史上での位置が知りえます。

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最後の写真8が、2001年2月25日に発掘された、外径12.5cm・内径5.29cm・厚さ0.02cm・重量20gの太陽神鳥金箔です。展示室の中央に、天井からのスポットライトを浴びて、回転する台上で輝いています。これはもっとも貴重な出土品として、ガラスケースから2m近く離れたところまでしか近づけませんし、警備員が立っています。以上のことから、写真撮影が一番困難な出土品です。

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以上で四展庁を終えると、出口(入口と同じ)の右手にあるエスカレーターで下りると、地下1階の五展庁(第5展示室)に至ります。「解読金沙」と題されているように、本展示室は成都市とその近郊を主体とした遺跡の紹介です。写真パネルを中心として一部遺物を含めて展示しています。これによって、古蜀文化における金沙遺跡が占める歴史的位置が理解できるわけです。

これで、陳列館の出土品見学は終わりです。地下1階には4D影院(映画館)があり、金沙遺跡の映像上映を行っています。時間に余裕があればゆったりとした椅子で映像を楽しむのもいいでしょう。それから、そこには売店があり、図録・書籍やレプリカ銅器や太陽神鳥を模した記念品などを販売しています。また、外面に面して喫茶店があり、各種の茶(20元から)・コーヒー(エスプレッソ35元から)とケーキ類があり、休息の場となっています。地下から陳列館を出ると、この広場には出土した烏木の大木が展示されています。陳列館の裏は北大門です。以上、博物館の施設はすべて最新のテクノロジーにより遺物の保護と展示を行い、同時にバリアフリー化された設備となっています。

ところで、陳列館を出て、右(西)へ道をとると、文物保護中心と金沙劇場で、体験と実演の場ですが、まだオープンしたばかりなのか、ここはまだ活動していないようなので、具体的にどのようなことがなされるか定かではありません。

陳列館からもとの道を戻り、左手に遺迹館を通り過ぎ、道をまっすぐ行くと南大門に出ます。その途中に、2005年8月16日に中国文化遺産シンボルマークに太陽神鳥金箔が選定されたことを記念して、同年12月18日に出来た彫塑モニュメントが右手にあります。また、道の左手側は発掘された烏木を立て並べた烏木林です。

以上が開館時における金沙遺址博物館の紹介です。

最後に、館内撮影についてお話しします。館内撮影は自由です。太陽神鳥金箔をはじめ展示品が撮影できます。しかし、展示品は保護のため基本的にガラスケース内に収められています。したがいまして、ストロボ撮影ではその光が反射してよい写真とはなりません。それに現在はストロボ撮影を係員が制止していませんでしたが、遺物の保護からいっても、これが禁止されるのは当然なことと考えます。ですから、撮影は室内の照明のみということになります。

ということは、光量不足によるシャッタースピード低下からくる、手ブレが一番の問題となります。次いでフォーカスオートの動作が不正確になりやすいことです。とりわけ前者の問題は撮影画像の善し悪しに明確に現われます。しかし、デジタルカメラの液晶画面では極端でなければ確認しかねます。ですから、この対策をしっかりしないとよい写真は撮れないことになります。私の機材は3年前に購入した、デジタルコンパクトのリコーGXです。これで、開放値のf2.5で1/10秒以下のことは普通で、1秒や1/2秒(例示・金冠帯)のことも珍しくありませんでした。このことを考えて、壁やガラス枠などを利用してカメラ保持をしっかりとする必要があります。したがいまして、第一にスローシャッター対策を第一に心がけてください。

次に撮影対象と部屋の照明との光度差が大きなものがあることです。この最大のものが太陽神鳥金箔です。ここは金箔を覆うケース上面にも像が浮かび上がり見れるような仕組みになっており、肉眼で見るには美しくなんでもないです。しかし、部屋自体が暗く、天井から強いスポット照明を当てており、金箔表面とその他の部分との光度差が極めて大きく、普通に撮ってしまっては金箔が白く飛んでしまいます。私の場合、オート露光方式をスポットに切り替えて、望遠側(85mm相当)いっぱいにし、さらに腕を伸して液晶画面中央に金箔をとらえてシャッターを切りました。ここは照明が強いため1/60秒以上で切れますから手ブレはそれほど気にしなくてもいいのです。ですから、太陽金鳥金箔撮影には望遠(135mm相当以上)を用いてスポット測光をするのがいいでしょう。ただ、望遠側に偏るといくら照明が強いといっても手ブレに注意する必要があるでしょう。以上、第二に、照明比の関係から撮影対象により、測光方式(平均・中央重点・スポットなど)を的確に選ぶ必要があります。

なお、金沙遺址博物館の公式Webサイトが開設されており、

(http://www.jinshasitemuseum.com)

各種の解説説明や出土品(太陽神鳥金箔など)の写真などが見れます。

(2007.04.19)

 

追記  古蜀王国の伝説上の王、望帝・叢帝の陵のある郫県「望叢祠」に関しては、10月28日付「望叢祠―成都雑感〔50〕―」をご覧ください。(2007年11月2日)

 

〔追記〕 フォトアルバム「成都・金沙遺址(遺跡)博物館」は、https://1drv.ms/f/s!AruGzfkJTqxngpIOkebzFNvwUEe5GAです。

(2011.09.30)

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kanazawa45 について

中国に長年にわたり在住中で、現在、2001年秋より、四川省成都市の西南交通大学外国語学院日語系で、教鞭を執っています。 専門は日本中世史(鎌倉)で、歴史関係と中国関係(成都を中心に)のことを主としていきます。
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金沙遺址(遺跡)博物館オープン―成都雑感〔39〕― への2件のフィードバック

  1. やすよ より:

    私の回りでも多くの方がもう訪れていて[太陽神」は小さい!とか話をしています。私もこの大型連休中に混むのを覚悟で行ってきたいと思います。

  2. 正大 より:

    やすよさん、金沙遺址博物館は必見です。
    確かに太陽神鳥は直径12cm余しかなく近づけませんし、
    強いスポット照明が当たっているので、細部まで確認しにくいです。
    それに写真撮影には、記事で書いたように工夫が必要です。
    もし写真撮影をなさるのなら、参考にしてください。
    なお、天気がよければ、901路に乗るのもいいかと思います。
    この土曜日に見かけたときは2階部に数人しか乗っていませんでしたが、
    メーデーの時はどうでしょうか。

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