2005/6年度後期の担当課目

 2月20日(月)から西南交通大学は後期学期が開始されました。第2週が終り第3週に入ろうとしています。前学期に続いて、今学期の担当課目を紹介したいと思います。

 今学期の担当課目をまず示します。

1.語彙論―大学院1年

2.名著欣賞(名著観賞)―大学本科4年

3.日文写作3(日本語作文3)―大学本科3年

4.文化与礼儀(文化と礼儀)―大学本科3年

5.日文写作1(日本語作文1)―大学本科2年

6.文化与礼儀(文化と礼儀)―成人教育専科3年

以上の6課目で、週7コマとなります。これに、4年生の卒業論文指導がくわわります。今回は6名を担当します。

 院生の課目は名目上は修辞学ですが、実際には語彙論を講義します。基本的には日本の大学の学部専門科目レベルとなります。語彙論は他の分野と比較して、研究の深化していない分野で、出版された教科書レベルの書籍もごくわずかです。そこで、田島毓堂『比較語彙研究序説』1999年笠間出版をテキストとして講義します。これにより、田島氏の提唱する比較語彙研究方法を理解して、語彙論が言語の枠を越える必然性と重要性・面白さを把握させます。残念ながら、現在までのところ、本講義を受講した院生で語彙論をテーマに選んだ学生はいません。院生には、困難だが、長期的に取り組めば、いい研究成果が上げられるといって唆すのですが。

 「名著欣賞」は4年生最後の課目で、選択です。三浦哲朗「忍ぶ川」の新潮文庫本コピーをテキストにし、「日本文学概論」の「伊豆の踊子」と同様なやり方で、全文を読破します。三浦哲朗の作品は精読の授業で既出(上海外国語学院日語系編『日語』第六冊・第3課「おふくろの消息」1986年上海外語教育出版社)であることと戦後を代表する青春小説なので、これをテキストに取り上げました。本課目は本来的に日本語学科の課目なのですが、名目上は全4年生が対象のため、本学科以外の学生も受講できます(最初にこの課目を持ったとき、このことに気づいて、教務の方へ申し入れましたが、いっこうに変更されません)。当然に、他学科の学生も受講しますが、いうまでもなく日本語が読解できる学生は皆無です。したがって、「忍ぶ川」の中国訳はないようなので、適当な日本語小説の中国訳を選ばせて、それを読破するようにいいます(本課目は選択ですが、卒業に必要な単位数に含まれ、履修届課目の変更がきかないため、不合格となると卒業できません)。なお、本課目は第5週(3月20日から、4年生の新学期が開始です。春節休みに続いて、卒業実習の期間があるためです)に開始し第12週に終了予定で、週2コマです。これはもちろん卒論執筆のかねあいのためです。

 「日文写作3」は通常の作文の仕上げとなります。ここでは、大野晋氏の提唱された「縮約」と「中国人の日本語作文コンクール」(中国の大学日本語学科の過半が参加)応募作品執筆が授業内容になります。縮約は朝日新聞社説を素材に毎回これを行ないます。学生の縮約を返すとき、その模範案を提示・解説するのが前半で、次回の課題を提示・説明するのが後半です。これを毎回繰り返して、学生に読解力と同時に文章表現力を鍛えるのです。素材に社説を使用するのは、分量の関係と(1200字程度を400391字以内に縮約)事実文として意見と事実の把握を理解させるためです。この縮約の間に作文コンクールの作文作成が入ります(本年はまだ課題が来ていませんが、おそらく3月半ばまでに来るでしょう)。第3稿まで書かせてから(およそ7・8週間をかける予定です)、最終応募作を選出します。一定以上水準と考える作品は応募させますから、年により数は異なります。

 「日文写作1」は、テキストとして『日本語作文Ⅰ』1988年専門教育出版を使用します。最初の時間は「私の故郷」という題で作文を書いてもらい、次回からテキストに沿って課題の課を選びます。関連語句・言い回し文型と説明を加え、そして質問をします。本テキストは少し古く、日本での学習者用なので、当然ながら中国の実情にあった説明・質問や新語句を入れます。最後に、中国の学生用にアレンジしたより具体的な課題を示して、次週までの宿題とします。例えば、「私のアパート」とあれば、「「私の学生寮の部屋(紹介)」といった具合です。作文の授業は初めてなので、作文に馴れさせるとともに、やはり事実文を主体となるように課題を選びます。翌週は前に出した学生の作文の(文法・語句・字・表現とあらゆる)誤謬を例として示し、学生に正させ、説明を加えます。最後に、作品総体の構成・内容に関して、学生の作品の中からよい例と悪い例を示しながら、課題に沿った作文の基本骨格を提示します。これが評価の基準ともなるわけです。次週は新しい課題の提示となります。この繰り返しで授業は進みます。

 大学本科3年と成人教育専科3年の「文化与礼儀」は同一内容の授業です。「文化と礼儀」となっておりますが、「日本のビジネスマナー」に特化した内容にしています。基本は、ビジネスにおけるマナーであって、社会一般のマナーではありません。社会人になるのもそう遠くないからです。テキストとして、キャリア総研『ビジネスマナー基本テキスト』2004年日本能率マネージメントセンター)を用います。最初の時間は、ビジネス概論ともいうべき、経済から考えるビジネスの基本的な考え方を解説します。ここで、何故に顧客第一にビジネスを行なわなければいけないか、その本質から考えさせるように説明します。次の週からテキストに入り、その順にしたがって授業をします。その際、必要によりテキストで触れていないことも示します。この場合、他の日本のビジネスマナーの本も参考にします。説明においては実際のマナーの形式よりも、何故その形式をとるのか、その理由を示すことで、マニュアルとしてのマナーではなく、ビジネスの本質からマナーの形が生み出されていくことを理解させ、臨機応変が出来るようにします。時には模擬実演させることもあります(例えば、電話の応対)。こうして、マナーの本質と応用を学ばせます。

 以上が後期の担当課目の紹介です。

(2006.03.05)

 

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kanazawa45 について

中国に長年にわたり在住中で、現在、2001年秋より、四川省成都市の西南交通大学外国語学院日語系で、教鞭を執っています。 専門は日本中世史(鎌倉)で、歴史関係と中国関係(成都を中心に)のことを主としていきます。
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2005/6年度後期の担当課目 への2件のフィードバック

  1. Unknown より:

    文化与礼儀の授業は、日本人である私も興味がわいてきました。
    確かに、そのマナーを覚えるというよりも、どうしてそうなるのかという
    理由を理解することが大切ですよね。
    最近私も、マナーとは、実は効率的に物事をすすめる為に生まれてきたのかな
    と思うことが沢山あります。(中国に来てからやっと分かりました・・・)
    また逆に、中国でのマナーとはどんなものなんだろうか と
    知りたくもなりました。
    きっと、こうしたマナーの講義は実際社会に出てから
    大変役に立つものだと思います。

  2. 正大 より:

    あきさん、こんにちは。中国での「文化与礼儀」の授業は、一般的な日本文化と礼儀を教えるのが普通でしょう。おそらく、ビジネスマナーに特化しているのはまれだと思います。本授業を持ったのは西南交大が初めてでしたが、最初からビジネスマナーにしていました。この時は、教科書はなく、日本のビジネスマナー本をたたき台にして、教えました。当然ながらその本には挨拶の仕方とか電話応対などの手順は述べていましたが、何故そのようにするのか、背景を含めて、理由をも述べているものではありませんでしたから、それは私が補いました。試験においても、あるマナー動作が何故そうするのか理由を述べさせる記述問題を入れます。マナーはマニュアルではなく、心と思います。

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