「川江号子」清油火鍋―成都雑感〔13〕―

 この冬は寒冬になると気象庁が予報を変更したとのニュースに接しましたが、日本では鍋モードでしょうか。

さて、四川の鍋といえば、火鍋がよく知られており、現在では中国各地に広がり、どこでもポピュラーなものになりました。日本でも火鍋をメニューに加える中華レストランを見かけるようになりました。その意味で、日本人にも火鍋は珍しいものではなくなりました。今日紹介するのは、3年前に登場した清油火鍋です。

火鍋発祥の地は重慶市です。当地の河川労働者がエネルギー源として、また川の夜の寒気を乗りきるために、牛解体の後の余り物(臓物など、安価)を利用して、手軽に食べられるように工夫し出来たのが火鍋といわれています。ですから、唐辛子に代表される激辛であり、スープに牛脂を使用しているのです。なお、現在の火鍋店が重慶に出現したのは1930年代初めです。

2003年に開かれた(中国)第5回料理人大会で成都市の「川江号子」店が出品した「絶代双椒」火鍋が第1位となりました。これが清油火鍋です。いままでの火鍋とどこが違うのでしょうか。スープのベースとしての牛脂に替えて菜種油を用いていることが最大の違いです。四川方言で菜種油を「清油」というのが、その名の起こりです。現在、Web『成都吃喝玩乐网』(成都飲食娯楽ネット)上には、火鍋関係店(串串香などを含む)が500店近く載せてあるという、火鍋の街である成都市において、それが他の人気火鍋店へも広がり、流行の勢いを示しています。これは動物油よりも植物油の方が健康によいという健康志向があるからです。本来、火鍋は重慶のもので、成都でも重慶○○火鍋店と名乗る店が多数あります。この意味からいえば、火鍋は重慶火鍋が正統で、成都火鍋は亜流ということになりますが、清油(植物油)火鍋の登場で、真の成都火鍋が誕生したといってよいでしょう。

清油火鍋発祥の店である成都「川江号子」火鍋玉林店(芳草西街華姿路1号 電話028-8555-5636)は市南部の玉林地区にあります。店は1・2階とあり、全体で50卓ほどです。店内の内装はシンプルで豪華とはいえませんが、トイレにTOTO製品を用いていることから分かるように、しっかりと作られた店です。私が訪れた日(22日・冬至)、食して帰るときの20時過ぎでも、満席で数組の待ち客がいたことで分かるように、この店は極めて人気が高いです。この意味で、週末や休日は予約を入れておくとよいでしょう。

さて、火鍋自身ですが、基本は赤の激辛スープと白の辛くないスープの鴛鴦鍋です。写真1は、具を入れる前で、鍋が沸騰しはじめたところです。ご覧のように沸点が低い赤スープの方が先に沸騰し出します。これには唐辛子・山椒の実・生姜・クコの実などが入って激辛味を出します。白の方には魚・生姜などが入っています(店により漢方素材各種を入れて薬膳効果を出します)。

s-051222川江号火鍋玉林店 001

スープが沸騰したら、後方に見える具を入れて煮て食べます。まずは、肉・魚類から食して、その後に野菜・キノコ・豆腐類を食するのがおいしい食べ方です。本店のスープは激辛度からいえば、標準的なもので、決して凄まじいものではありません。牛脂ではなく植物油を用いているためか、ギトギト感がなく、むしろあっさりとした感じさえあり、胃腸にも負担をかけないと思います。その意味で、辛さはありますがまろやかともいえます。肉類を辛いスープで食して辛さになれてから、冬瓜や大根を煮て辛さのしみたのを食べれば、より辛さの味を楽しむことが出来ます。具材は各種の肉・臓物(脳みそも)や魚など豊富にありますから、いろいろ試してみるのもよいでしょう。本店は火鍋の店としては高級店ですが、火鍋自体が庶民料理から始まったものですから、それほど高価なものではありません。本店の場合、1人40~50元くらい見ておけばよいでしょう(私の場合特別な具材を頼まなかったし、飲料が少量だったので、5人で170元でした)。なお、冬至の日には中国では羊肉を食する習慣があるので、当然ながら具には羊肉も注文しました。

最後に、写真2は私の席(道路窓側端)から見た1階店内奥の全景です。満席の様子がお分かりでしょう。

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(2005.12.23)

 

追記 火鍋の素は重慶産・四川産と多数が販売されています。鶏ガラスープなどにこれを加えて煮立たれれば火鍋のスープが出来るものです。本来の火鍋は牛脂を使用するため、この素も牛脂製です。ですが、清油火鍋の流行にともない、植物油製の火鍋の素が出てきました。その一つとして、「純菜油火鍋底料」を紹介します。これは成都市丹丹調味品有限公司(成都市郫県)の製造です。ここで「底料」とは、直訳すれば火鍋の鍋の底の材料で、すなわち火鍋のスープのことを意味します。したがって、この製品の意味は「純菜種油火鍋スープ」となります。本製品は健康をうたっており、純菜種油と天然香料を用い、人口色素を加えていないといっております。価格はカルフールで1袋(1回分260g)5.6元です。なお、これ以外にも重慶市製のもあります。

(2006.01.06)

 

〔追々記〕  「川江子号子火鍋」は、経営母体の経営方針(四川料理店「巴国布衣」とホテル「巴国客桟」集中展開で、「レストラン+ホテル+茶館」三位一体経営モデル化。火鍋は利益率が低い)により、本年冬、成都市内全店(5店)が営業停止になります。(2011.02.28

 

 

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kanazawa45 について

中国に長年にわたり在住中で、現在、2001年秋より、四川省成都市の西南交通大学外国語学院日語系で、教鞭を執っています。 専門は日本中世史(鎌倉)で、歴史関係と中国関係(成都を中心に)のことを主としていきます。
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