卒業論文指導

5月は私にとって一番忙しい月です。それは、卒業論文指導の山となるからです。

西南交通大学日本語学科での卒業論文作成の流れと実情を述べます。

9月、新学期になると、4年生は卒業論文テーマ設定のための史料検索に入ります。卒論作成の第一歩です。しかし現実には、この段階では何もしません。10月の国慶節の休みを経てもまだです。11月、最初の卒論テーマ提出が迫ると、ようやく腰を上げて、図書館やインターネットで資料を見て、適当なテーマ名を考え出します。「戦後の日本経済」とかいうように、極めておおざっぱなテーマとなります。一応、11月末頃に、それを提出します。しかし、そういうものですから、そのまま通ることは少なく、再提出となります。ここで、あわてて、資料検索に力を入れます。私のところに資料を探しに来るのもこの時です。12月中旬までに、最終テーマを決めます。この過程で、何度か修正する学生もいます。決定権は学科主任にありますから、よくそんなテーマでよいのかと、主任に叱られます。

各自のテーマ設定が決まると、主任が各学生の卒論指導担当教員を決めます。そして、12月下旬、卒論指導担当教員と学生全員の会議を招集します。ここで、卒論作成の進行日程が告げられ、作成上の注意事項などを学生に知らせます。それから、各担当指導教員毎に学生が分かれて、最初の指導を受けます(私の場合、6人で、テーマは日本文化全般。全クラス29名で、指導教員名)。ここでは、各自が決めたテーマについての現況報告(資料収集など)と、それに基づく冬休みの指導を行います。基本的にはテーマに関する資料収集とそれによるアウトライン作りについてです。この段階で、もうテーマ変更を申し出る学生も出ます。つまり自分決めたテーマに自信がないので、指導教員にテーマを見つけてもらおうとするのです。

最終学期では、選択科目の単位に不足がなければ、授業は取らなくてもよいですから、事実上卒論作成だけです。4年生は卒業実習の関係もあり、冬休み明けは、第4週目からです。本年の場合、3月14日です。事前に言ってあるように、大学に戻ったら、連絡・卒論の進行状況の現況報告をしなければならないのですが、こちらから言わなければ連絡する学生は皆無といってもいいのです。ですから、学生が大学に戻ったかどうかすら分かりません。ともあれ、冬休み明け直ぐ、2回目の全体会議が招集されます。ここで、全体への注意の後、分かれて指導教員が各自の現況報告を聞くわけです。この時、まだ、大学に戻っていない学生が必ずいます。そして、テーマを変更したという学生も必ず出ます。この場合、以前のテーマに自信がないので変更するのですから、新しいテーマに格段の問題がなければ、その状況をよく聞き、そのまま変更を認めます。

何故そうなるかといいますと、本来は春節休みは卒論の資料収集・検討とこれに基づくアウトライン作りの時期で、ここで卒論の土台ができあがるはずです。しかし、何といっても日本語資料の不足、端的いえば文献資料が手に入らないことです。この点が日本国内とは違い、外国での弱いところとなります。成都は内陸部にあり、日本語文献には恵まれていません。それに休みで故郷に帰れば、北京などの地区を除けば、同様かそれ以下です。資料がなければ、自信もつきませんし、進めることもできません。この弱点、日本語文献資料不足は現状では如何ともしがたいです。もちろん、インターネットを利用した資料探しも常態となっていますが、いかんせん、玉石混淆というよりも、石だらけ、学生たちが検索して探し出したものは、問題がありすぎます。以上のことから、この長い期間が卒論構築に有効に働いていないわけです。

これからは完全な個別指導に入ります。進行日程では4月上旬が初稿提出ですが、実際はそれを最終アウトライン提出期限とします。それまでにやるべきことを指導し、次の指導日=提出期限を指示します。もちろん、それ以前でも連絡・報告をするよう言います。

さて、現実は、この遅れた日程でもこうはなりません。学生からの途中報告がほとんどないのです。指導日にはともかく学生に集まってもらって、現況を聞きます。しかし、本当の意味でのアウトラインが完成したとはいえない学生が多いのです。したがって、そういう学生にはさらなる補充を行いますから、より遅れるわけです。ともあれ、次に初稿提出の期限、5月のメーデー明け(進行日程では第3稿提出)と論文執筆上の留意点を指示します。また、論文はパソコン執筆となっているので、私の作成した卒業論文書式ファイルを渡し、それで執筆してもらいます。そうすれば、パソコン上で添削できるし、最初から一つのファイルになっているので便利なのです。

なお、卒業論文は、次のように構成されています。表紙・卒業論文任務書(中国語)・論文概要(中国語)・論文概要(日本語)・目次・論文本文・参考文献表です。それぞれ、ページ数の表示などヘッダー部分の構成が異なるのもあり、それぞれセクション別にしなければ一つのファイルにはなりません。他の学科の様子などを見ると、それぞれ別ファイルにし、プリントアウトしているようです。

4月下旬、指導教員が集まり、学生の現況を確認するとともに、卒論の完成提出を5月末と確定し、学生に督促するように決めました。あらためて、学生を集めて、現況を報告させ、そのことを告げ、メーデー明けまでには初稿を提出するように厳重に命じました。ともあれ、それで5月になると初稿が提出されるようになったのです。中には、大学にはおらず、メールで添削指導をする学生もいます(就職決定先での実習中などで)。したがって、私もメーデー明けからは、本来の授業(週6コマ)に加え、卒論指導添削が本格的に始まったので、一番忙しい時期になったのです。特に初稿(論文本文)ですから、問題点や基本的なWordの利用法など添削箇所は一番多く、一番時間を要するのです。土日も返上になります。

当然ながら、2稿、3稿と続くわけです。とりわけ、注意したにもかかわらず、初稿では注を付けていない学生もおり2稿以降もたいへんなのです。本文が確定するとともに、任務書や論文概要を付けて(表紙は初稿添削で作成し、目次は本文ができれば、Wordの機能を使って自動作成しますし、注が固まれば参考文献表もできます)、卒論は完成です。予定では、5月末が期限です。これは大学での選抜答弁会(日程未定、おそらく6月中旬)に間に合わせるためです。そして、その後学科の答弁会と評価決定となります(6月中下旬か)。しかし、実際の締め切りは6月上旬になると思います(例年そうです)。ただ、本年は例年より、学期末が早いので、それだけ日程に余裕がないのです。まさしく、これから追い込みとなります。

(2005.05.14)

 

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kanazawa45 について

中国に長年にわたり在住中で、現在、2001年秋より、四川省成都市の西南交通大学外国語学院日語系で、教鞭を執っています。 専門は日本中世史(鎌倉)で、歴史関係と中国関係(成都を中心に)のことを主としていきます。
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卒業論文指導 への4件のフィードバック

  1. より:

    私も去年卒業生を指導する立場になって、結構大変でしたね。日本と中国の制度は違いますが、学生は同じようです。後ろから叩かないとなかなか動いてくれなくて。今度修士の学生の卒業指導もあり、もっと大変だとうと思います。先生がおられる西南交通大学は、去年私が行ったことがあります。学生が4万ぐらいの大規模の大学だそうでびっくりしました。先生はそこで先生になったきっかけはなんでしょうか?もしよければ教えていただけないでしょうか? ずっと知りたくてついに聞き出しましたが。。

  2. 正大 より:

    tiantiantiantiantian さん、コメントありがとうございます。ちょうど、卒論添削に区切りがいいところが来たので、こうしてコメントしています。ひと当たりWebを見たら、また続きです。

  3. Unknown より:

    清華大学のたろです。コメント有難うございました。上海、広東省の大学のMBAの雰囲気を聞くと北京とはかなり違ってます。目的が向こうは「独立」なのに対してこちらは「大企業」です。つまるところ金というのは一緒ですが。フォーマットに関してはかなり厳重で数百ページもあるものを2人のオフィスの老師が700名のMBA候補生のものを1ページ1ページチェックして、ここの行は揃えろとか、図を少し小さくしろとか、ここのフォントが違うんじゃないかとか延々チェックするので長蛇の列でした。自分は更に英文の論文なのでフォーマットが中国人クラスメートのものと違うので不明な部分が多くて大変でしたよ。また色々教えてください。

  4. 正大 より:

    たろさん。MBA候補生が700人、そんなにいるんですか。どうして、そんなにフォーマットについてこだわるか、中国側の考え方が理解できません。幾らフォーマットが正しくとも内容が空っぽなり、それによるMBA取得は、結局社会で評価されないでしょう。修士論文の保存はペーパーですかファイルですか。一応、当大学ではファイルということになっていくようです。

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