DVDソフト事情(1)映画―成都雑感〔4〕―

 2000年ころは1000元以上したDVD機が、現在では特売目玉商品の場合、最低スペックですが300元と格安になっています。この値段は以前のVCD機くらいです。ですから、ソフトもVCDからDVDに移行しています。

ご承知の通り中国はコピー天国です。DVDもその通りです。市場に出ている90%以上が所謂海賊版です(正確なパーセンテージは不明確ですが、私が成都市内で見る限りでは、新華書店や大型商店をのぞき、個人商店で販売されてる99%は海賊版)。

なぜ海賊版がこれほど多いのですか。大きく3点の理由と考えます。第1に、価格差です。現在の海賊版1枚の価格は新譜で6元(D5の場合、D9では倍)・旧譜で5元(紙製カバー)です。正規版は、映画を例にとると、新譜で中国作品18元(『十面埋伏』)・外国作品22元(『ラストサムライ』)、外国名作10 元(『ローマの休日』)・中国名作18元(『白毛女』)です(音楽関係は最低20元です)。この標準より高い作品もあります。第2に、海賊版のほうが圧倒的に品揃えが豊富です。正規版は成都1の西南書城でも、映画の品揃えはせいぜい100点あまりです。海賊版ならこの十倍以上はいつも見られます(正規版はすべて海賊版でも同じものが出回ります)。第3に、海賊版のほうが新譜が早いことです。もちろん、知的財産権についての知識・観念が通例の中国人に未熟な点はゆがめません。しかし、なんといっても海賊版のほうが利便性がいいのです。

一環路南二段(磨子橋)にある電脳街にあるいくつかの電脳城(ビル)のソフト売場には個人商店が引きめいています。これが成都におけるDVD市場の中心です。市内の音像商店ではDVDを扱う店は少数です(海賊版の仕入れルートと店の規模が小さいための展示スペースとの問題があると思います)。あとは、大学内のソフト・レンタル店です。

ところで、海賊版追放をしていることを示すために、日本でいう取締り月間みたいなものをやり、内外にその成果を誇り、知的所有権保護をうたいます。そのときを除くと取締りは事実上なされていなかったのです。しかし、中国もWTO加入もあり、中央はその強化をはかりました。日常的な取締りもはじめたのです。そのためもあり、2002年夏を境に、電脳城の商店の表の棚からは紙製カバーの海賊版は姿を消しました(正規版はすべて箱入り)。同時に市内の各店も同様でした。それに、棚には箱入りを並べ、地面にダンボール箱入りで並べていた、電脳街唯一の店も、2003年春には表からそれを撤去しました。しかし、電脳街に行けば、いまでも海賊版DVDが買えます。ではそれはどこにあるのでしょうか。

電脳城のソフト階を歩けば、必ずDVDは要るかと声をかけられます。うなずくと、別室に案内されます。内部と連絡した(携帯で)後、鍵が開けられて入ると、中にダンボール箱に入れられたDVDが展示されています。出る時には、店員に言って、その指示で出ます(なにせ鍵は入るとすぐ閉められるのですから)。なんか秘密取引をしているようです。また、先の店の場合、店の奥に別室を作り、普段は入口を陳列棚で隠し、休日のみ解放して客が入ることができるようにしています。何せ取締り係官は休日です。このように、電脳城の表面からは海賊版は姿を消しているのです。この点、取締りがないせいか、大学内の店は店内にそのまま展示されており、いつでも買うことができます。また、市内の音像商店は一時消えていた紙製カバーの海賊版が昨年から棚に並ぶようになりました。

品質からみると、やはり問題があります。箱入りはパックされているので、買わなければ中を見ることはできません。したがって、その場で中を確認してはっきり目に見える欠陥がないかぎり返品できませんでした。そのころはなにせディスクにひびが入ったものもありました。今の紙製カバーの場合は、包装を開けて中を見ることができます。しかし、実際にかけてみないことには視聴できるかどうかは分かりません。特に、最初の部分はよくても後半(内周部)にドロップがあることが多く、まさに最後までかけてみなければ分かりません。店頭で試聴できたとして完全ではないのです。100枚買えば、その数枚はそういう欠陥品です。とりわけ、ソフトで視聴するパソコンの場合はその比率はDVD機の数倍となります。ある意味では賭けみたいなところがあります。製造元が同じなら、何枚買いなおして同じことになります(矢口史清『ウォーターボーイズ』)。

これから、日本関係の作品を中心に、海賊版の内容を述べていきます。

ジャンルからいうと、映画・テレビドラマ・アニメ・ドキュメント・音楽となりますが、一番品数の多い映画からはじめます。外国映画でもっとも数が多いのは、アメリカ映画です。全体の70%以上を占めるでしょう。次いで、中国映画(香港を含め)が10%あまりです。日本映画と韓国映画それに次いで、合わせて 10%弱といったところでしょう(日本・韓国は同一ボックスに区分されています)。日本映画は一昨年までは韓国映画よりずっと比率が高かったのですが、昨年あたりから比率が下がっています。

日本映画に限りませんが、海賊版の元版は各国で発売されたものが使われています。日本映画の場合、日本発売は当然、アメリカ・フランス・韓国・タイなどいろいろあります。ですから、リージョン(地域)コードが3などとか、PAL形式のもあるわけです。この点日本発売のパソコンで視聴する場合問題となります(中国発売のDVD機はリージョンコードフリーですから問題ありません)。また、日本では発売されていない映画や版もあります(大島渚『愛のコリーダ』)。普通は元版の包装をスキャナでコピーして紙製カバーを作っています。そのスキャナのソフトが中国漢字読み取りなので、誤変換が多々見られておかしなものです。

海賊版の発売は、日本での新譜発売から早いもので2・3週間で出回ってきます(11月下旬発売の篠原哲雄『天国の本屋恋火』は12月中旬に手に入れました)。ただ、ほとんどの作品は一度しか発売されないので、買い損なうと二度と手に入れることはできません。見たらすぐに買うのが鉄則です。ただ注意したいのは、新作で日本新譜発売されていない作品の場合、香港公開の版もしくは劇場での盗み撮りからおこしたものなので止めたほうがいいです。もちろんよく売れるものは何度も発売されますが、それは例外です。岩井俊二『Love Letter』はその代表です。

黒沢明の戦前作品から最近作(正規版では黒沢明の一部作品などのごく少数で、90年代以降の作品はありません)までと発表期にも巾があり、ポルノ(AVは裏にはあるのでしょうが、表には出ていません)から戦争ものとジャンルにも巾があります。しかし、山田洋次『たそがれ清兵衛』の登場が発売数か月後であったように、発売基準がはっきりせず、昨年になってから、同年新作が発売後すぐに登場するようになり、手当たり次第に発売しているようです。また、単品の作品のみならず、小津安二郎・今井正・北野武などのボックス(黒沢明は不見)もあります。

日本での特典版付きが元版の場合、それが省略されるのが普通です(2枚組みにする必要があり、当然価格が倍になりますから)。また、本編以外に、特典映像がついている場合、多くは省略されます(特に公開あいさつとかインタビューとかの長めのものは)。

字幕に関しては、中国の字幕が付随されているのは当然です。しかし、少数ですがそれが消せないソフトもあります(周防正行『シコふんじゃった』)。元版は日本語字幕付きでも、それが削除されている場合もあります。音声で、コメンタリー音声が省略されることも多いです。ともあれ、海賊版の場合、多かれ少なかれ日本発売の元版と差異が出てきます。しかし、本編鑑賞には大きな支障はありません。

(続く)

(2005.01.04)

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kanazawa45 について

中国に長年にわたり在住中で、現在、2001年秋より、四川省成都市の西南交通大学外国語学院日語系で、教鞭を執っています。 専門は日本中世史(鎌倉)で、歴史関係と中国関係(成都を中心に)のことを主としていきます。
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